駐在員の奥さんが「もうすぐ本帰国。その前に書道を習ってみたい」ってことで、急遽臨時に書道教室を開き、全5回すべてが終わった。全部で何回できるかも当初はわからなかったので、私も試行錯誤しながら進めていった感じ。
書体に5種類ありますと話し、隷書だけ残っていたので、隷書をカンタンに学んだ。「秦の時代が滅び漢の時代になると、篆書を読みやすく簡略化した隷書が、篆書に代わり正書体として一般に使用されるようになりました」ってちゃんと言わなかったな、アタシ。
隷書と言われても具体的にどんな書体なのかわからないだろうから、『墨』という雑誌の別冊『隷書百科』を見せ、現在日本でも『文明堂』など看板に使われている場合もあり、『○○新聞』の題字によく使われていますと、プリントを渡した。
←1946年7月1日付から使用されている。書家印南渓龍(いんなみ・けいりゅう)の書。印南氏は3日間で100枚くらい書き、その中から今使われている1枚を選んだと言われている。「賣」の上の「士」が「十」になっている。同じつくりの「讀」と比べてみると違うのがわかる。これは間違いではなく、隷書体にこういう省略がよくある。
←唐の書家である欧陽詢の『宗聖観記』の中の筆跡から作字したもので、1879年の創刊から使われている。題字の「新」の中の「木」の部分は「未」となっている。これは古い字体であり、この文字が書かれた当時は誤字ではなかった。また、その「新」の字が『宗聖観記』の中に無かったことから、「親」の偏と「柝」の旁から点を取り除いたものを組み合わせて「新」を作字している。
これは今回教えるために調べた。誰の字であるのか、私は知らなかった。生徒さん達、毎回楷書の『九成宮禮泉銘』を臨書していたので、それを書いた唐代の欧陽詢の筆跡から、「朝日新聞」の題字が使われていたとは興味深い、よね?
そしてこの題字を書いてもらう。私が新聞の「新」のお手本を書く。篆書と同じく蔵鋒です。波磔(はたく。ぴょろーんとはねるヤツ)がありますといい、それぞれ書いてもらう。うちにある隷書のお手本、曹全碑などから好きな字を書いてもらった。
今回は隷書がどんな字であるかを理解してもらうのが目的。
生徒さんには「楽しかったでーーす」と言ってもらえたので、めでたし、めでたし。
[10回]
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