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Posted : 2013/08/21 08:25

 コメント欄は公開されているので、記事として挙げさせてもらう。これを書いたユキヤマ嬢は私の北京美大時代の友人。以下茶色の字部分。


 


私が『外国人』であった頃、実習のため私達学生は農村へ赴いた。そこは戦時中、日本軍が上陸した村で、村人達が一致団結して日本軍を追い払ったという話も残っている村だ。当時の私はそんなことなど知る由もない。宿泊先の農家へまずご挨拶に行った時、引率の教師は包み隠さず私が日本人であると紹介した。 母屋にいた老人達の間から「わしゃ、日本人を見たことがある」「わしも」「わしも」「わしも」と声が上がった。いずれも戦争中の事だという。私の顔がこわばったのを見て、中国人の同学たちが私の肩に手をまわした。教師は言った「みんなウチのクラスの生徒です。ここではお客ではありませんから、手伝いがあればどんどんさせてください。ご迷惑をおかけしますが、どうかよろしく」と。


 


(私は日本に戻って、中国人の生徒を受け持つようになってから、よくこの時の話をする。 「なーんにも知らないで行ったら、そこの村はね・・・」と話し始めると、中国人の生徒達は目を見開いて思わず「完了!」と叫ぶ。いつの間にか感情移入しているのだ。)


 


その村ではずいぶんお世話になった。炎天下、外を歩いていると「家で休んでいけ」とか「メシ食っていけ」と声をかけてもらった。 残念だったのは、その村では水が充分に使えず、シャワーができなかったためか全身にジンマシンがでて私一人だけ先に学校に帰ることになってしまった事だ。出発の朝、母屋から人が来て私に朝ご飯を食べにおいで、と言われた。いつもはみんな朝市で炸糕を買い、ハスの葉をお皿代わりに食べていたのだけど、私だけ村を離れることになり、最後の食事だから、と。皆にすまない気持ちと、少しおびえた気持ちもあって教師に言うと、「心配ないから、行ってごちそうになりなさい」との返事。 おそるおそる母屋の戸を開けると食卓の上にはすでに沢山のおかずが並んでいた。「小魚も煮たのよ」とおばあさんが言った。おじいさんの一人が、湯気の立つものを持ってきて私にそれを見せ「遠慮せずに食べなさい」と言った。それは、アルミのお弁当箱で炊いた白米だった。 「わしゃー知っとる。日本人は白米を食べる。魚もよく食べる。そうじゃろう?」 私も知っている。この村ではお米のとれる量が少なく、家ではめったにご飯をたべることはない。主食は小麦粉で、いつも烙を食べている。 私が「おいしい」と言うたびに、皆が笑ってうれしそうだった。切なくも忘れられない朝ご飯となった。


 


もちろん自分が外国人であることで嫌な目にも沢山遭った。 日本に戻ってからは、生徒が中国人だという理由でいわれのない誹謗中傷も受けた。 事実を生徒に告げるべきか悩んだこともあったけれど、最終的には本当の事を話すべきだと判断した。時にはあまりにひどい言われ方をしたので、相手(日本人)を殴りそうになったこともあった。情けないことに、生徒の前で嗚咽したこともあった。とても冷静ではいられない。特に自分の事はともかく、生徒が侮辱された時には。それで、こんな風にいつも話しています。 「私にはふたつの故郷があります。どちらともいい所と悪いところがあります。いい人も悪い人もいます。誰でも外国に行ったら『外国人』です。私もかつては『外国人』でした。これからも時々は『外国人』になることがあるでしょう。でも、外国にいても自分が外国人だと思わないこともあります。それはどうしてでしょう。私には故郷がふたつあるからです。」今年も生徒達にこの話をしました。何人かが涙を拭きながら頷いていました。


 


 


 読んで涙が出た。読者も目頭が熱くなったのでは?と察する状況で申し訳ないけど、ここは私のブログだから、言いたいこと言わせてもらう。

 私と彼女は決定的に違うところがある。それは私の故郷は日本だけ。中国が故郷とは絶対に思えない。私ははっきり、日本に行くことを「帰る」と言う。北京に行くことを「戻る」と言う。だって私の国籍は日本なんだから。


 


 中国が好きでたびたび旅行に来る日本在住日本人が、「中国は第二の故郷です」と言う。「中国大好き」日本人というのがあまた存在する。私はそれを批判するつもりはない。だってその人達、私じゃないんだから。でも、そういう言動を耳にするたび、「人の気も知らないで」と秘かに思うことを暴露しておこう。


 


 


 中国人と結婚して、子どもが現地校へ通う。もうそれはイヤなことが目白押しだ。駐在員、留学生では味わえない体験をたくさんしてきた。具体的に書けないけど、息子の受験時、私は結婚17年間で一番「国際結婚しなければよかった」と後悔した。いや、以前も後悔はたくさんしたけど、忘れちゃっただけだ。


 


「私、中国人じゃないんだから!!!」。心がたびたび叫ぶ。理解できない、したくもないことがたくさんある。日本と中国は常識が違いすぎる。北京に20年以上いても、面食らう。いや、反面、いいこともたくさんあったよ。日本にいて日本人サラリーマンとでも結婚していたら、または独身だったら、私が好きな「かくも変化に富んだ生活」は望めない。いいことの方が多いから、離婚にも踏み切らず、望んで中国に住んでいるんだけど。


 


私が苦労しているのは、空気汚染でも反日感情でもない。それは中国、中国人との摩擦。自分が外国人として外国にいることを否が応でも認識させられる。


 


心が寛ければ、そういうのも乗り越えて、「中国は私の故郷だ」なんて言えちゃうのかな。心が狭いと言われても私は別段構わない。


 


心遣いができる。時間に遅れない。社会にルールがある。法治国家だ。


私は日本人に生まれてよかった。それを誇りに思っている。

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それぞれかな
今私はどちらの国にも「帰る」という表現を使うかな。でもそれはあくまでも「家族の元に帰る」という意味合いであって、国への帰属感ではないような。
もちろん故国は日本だけど、近頃現実の日本と自分の乖離が激しくなってきていて、やっぱり「遠きにありて思うもの」なのかもしれないとも思います。
wanko@故郷は食べ物の中に 2013/08/21(Wed)12:04 編集
気持ち、わかります。
みどりさんとは規模が違うけど、大学入学で初めて故郷を離れた当初、親戚に「いつ、神戸に帰るん?」と聞かれ「帰るんじゃなくて、戻るんだけど。」なんて可愛げのない言い方をしてました。私、旦那と関係なく、昔から中国が大好きだった。胡弓や中国語を習ったり、留学生に知り合いを紹介してもらって文通したり。その後、中国人と接する仕事をして、でもまだ興味は尽きなかった。旦那と結婚してから段々と中国が、いや中国人が嫌になってきた。もちろん良い人も居る。ココで詳しくは語れないけど、私が中国人を嫌いになった原因になった人に沢山出会ってしまったのも事実。まぁ「中国人が嫌い」って一概に言うのも良くないけど。それなりに、理由があるのです…(涙)みどりさん、貴女の言わんとする事、よーくわかりますよ。私も日本人で良かった。
あと3日で別居ヒロコ 2013/08/21(Wed)18:36 編集
今日も授業でした
みどりさんのように生活の拠点が中国にあり、日々成長していく子供達の母親として、また妻として、また個人として社会と関わっていくのは(そうだ、嫁としてばあさんと関わっていくのは、というのもあった)、かつての私が留学生として学校という限られた、そして守られた世界の中から中国社会を垣間見るのとでは、「ずいぶん」どころではない違いがあったのだと、あらためて知った。

正直なところ、私が「故郷・ふるさと」という言葉を使ったのは、「祖国」という言葉を避けたからだ。

私が中国を、というより北京を想う時、はっきり言って「母校」を想う。
それは成人する前に留学し、北京で育った感があるからだと思う。
学校の外では、嫌な目にもあったけど、いい人にもいっぱい会ったから、嫌なことはあらかた忘れた。そもそも傷は深くなかったのだ。
それよりも、今は逆に日本にいて、中国人の生徒を受け持っていることで、日本人から受ける陰湿なパンチの方が辛い。

よく「中国人が好きだから今の仕事をしているんでしょう?」と言われる。
は?
私だって心はそんなに広くない。それで正直に言う。「ウチの生徒はかわいいです。よその生徒はどーでもいいです。ただ、よその子でも危なっかしいことをやってたら声をかけますよ。日本人の子供でも同じです。」
もちろん生徒の非常識な行動が原因でお叱りを受けることもある。ストレートに「非常識な行動」を批判される方がずっといい。
ものを教える立場の人間として、責任は重い。

wankoさんのおっしゃる「遠きにありて・・・」は、あると思う。このところ「日本ってこんなだったっけ」とか「日本のよい所ってなんだろう」と考える。
たぶん、ロクな日本人に会っていないせいだ。と、人のせいにしてみる。

今日の生徒はこう言った。「日本にいたら人から笑われるようなことはできない」。
いや、やってるって。だから私があれこれ言ってるんでしょう?
今日のことわざ=「人の振り見て我が振り直せ」
「先生、中国にも同じ意味の言葉があります!」
「そうでしょう、そうでしょう。ではあなたも私も今日は我が振り直しましょう」
下課。 明日も授業だ。
短文にしろよユキヤマ 2013/08/21(Wed)23:17 編集
ご無沙汰しております
みどり様
ご無沙汰しております。ブログの内容、久々に大変興味深く拝読しました。日本人夫として今後もこの国と関わっていくことになる我が身としましても、みどりさんとご友人の率直な意見は身に染みました。この国で外国人であること、しかも日本人であるために直面せざるを得ない問題は確かに相当なものですよね。自分も娘の出産の際に红包を渡すか考えさせられましたが、人の命をなんだと思っているんだと憤りを感じもしました。しかしより興味深かったのはみどりさんが「中国大好き」という日本の一部の風潮(今ではある意味貴重ですが)とはっきり距離を取った上で在華日本人生活の限界を指摘されているところです。最近気がついたのですが、北京に長く滞在していらした日本の先輩方が続々と帰国されているようです。みどりさんが仰るようなことと無関係ではないように思えてなりません。これほど対照的な両国人の気質ですから、どれだけ人間ができていようと恐らく政経問題以上に両者の「常識」の差異にはお手上げではないのでしょうか。僕の中ではトマトに塩か、それとも砂糖かといった次元から始まる話ですが、いやいやこうした細事が結構気になるんですよね。そうやって育ってきたといえばそれまでですが、、いやいや日常で培われた習慣というのは恐ろしいものです。いつのまにか生活の判断のハンドルを握られていますからね。自分も最近ようやく日常生活において学ぶべき唐物と残すべき和物を徐々に意識するようになってきました。この相反する文化をどう止揚するかはまあ人それぞれだと思いますが、娘はできることなら両国の清濁を併せ呑めるような強き女性に育てたいですね。問題は日中両国ではこれが大変難しそうということなんですよね。。さてどうしたらいいことですやら。長々と失礼しました。ご成長されたご令嬢ご子息にもどうかよろしくお伝え下さい。
倉重 2013/08/22(Thu)03:10 編集
確かにね
みどりさんの言いたいことわかる気がします。 違う国の人と国際結婚して二十年。 あっちこっちの国に住んでいろいろな日本人にあって思うことは、勝手なこと言いやがって! 短期滞在でしかもほぼ親日家の方に囲まれて生活している人に何がわかるんだろう?現地語も上手とはいえ、言外に言っていることがわかるレベルではない。でもそれが分かるくらいになったときに感じる人種差別の壁。 簡単に、私は日本人でいることが嫌いという人たち。 日本ほどいい国はないよ。 お願いだからもっと自分の国のことを考えてね。外国はやっぱり外国です。もちろん優しい人、理解ある人、本当に木の合う人もいます。 でもやっぱりア、ウンの呼吸で暮らせるのは日本かな。国際結婚しておいて何言ってるの!と言われるのを承知で、やっぱり日本に帰りたいわ。
通りすがり 2013/08/22(Thu)20:47 編集
このコメントの濃さはユキヤマ嬢のおかげだ
wankoさん、嫁に行った。しかも外国へ。もう実家は自分の家じゃない。居心地はすこぶる悪い。★昨今の日本はアタシらのいた昭和の日本とは違う。でも中国という外国を目の前にすると、日本は昔も今も同じようなもの。だって中国には日本ではありえない制度、やり方、方法がある。

ヒロコは運が悪かったというか。留学していた友人、「一人を除いて中国人はみんな悪い人」とか言って、いろいろイヤな目に遭い帰国。一生中国には来ないだろう。どんな人にめぐり合って、どんな経験をするか、誰にもわからないもの。それぞれの中国観で語っていいと思う。

ユキヤマ嬢が気分を害してたらごめんなさい。いや、そんな器ではないと私は固く信じています。立場が違う。考え方が違う。それでいい。駐在員からしたら、あっちは仕事だからねえ。「人の苦労も知らないで」と私のような人を思うかもしれない。私自身が困っても個人の問題だから、会社に迷惑はかからないし、責任も生じない。その点、ユキヤマ嬢も中国人学生の世話でお疲れでしょう。対日本人とか。お互い頑張りましょう。

倉重氏!衝撃の国際結婚!ビックリですわ。ボクちゃん、30代になったんでしょうか。中国女は強いからね。気をつけてください。あ、お嬢さん、「強い女」にならんでよいって!ガマン強さは必要だけど、強い女。恐ろしいわ。いつかゆっくり会いましょう。

通りすがりさん、私は「人種差別」は感じたことがないのですが、中国のやり方に戸惑います。ただ、私は日本に帰って生活したいとは思いません。これほど書道で活躍できないし(日本は書道できる人多いから)、有意義な日々を送らせてもらっています。
みどり8月にじゅうご 2013/08/24(Sat)19:47 編集
読んでいて涙が出ました
読んでいて涙が出ました。中国在住11年、中国人と結婚して中国企業で働いているはとぽっぽです。大先輩のみどりさんが、「中国は第二の故郷と思えない」とおっしゃると、失礼ですがとても安心してしまいます。
私も11年の間に旅行者→留学生→中国企業社員→中国人嫁とグレードアップ(?)している訳ですが、中国に対する感情がどんどん冷めていくのをどうしても止めることができません。個人で好きな人はいるんですが、それと国に対する感情は別です。反対に自分はどこまでいってもやはり日本人で、日本が大好きなのだいう自覚が強くなっていきます。
日本食を食べ、日本のTVを見て、日本人と付き合う私を見て、「中国歴長いくせに、中国に馴染む努力をしてないですね」と日本人に言われた時、「人の気も知らないで!」と、中国人に「郷に入っては郷に従え」と言われた時、「私中国人じゃないんだから!」と心で叫んでしまいます。きっとこの先何年こちらに住んでも、やっぱり中国を故郷とは思えない気がします。
はとぽっぽ 2013/08/29(Thu)16:16 編集
ブログ拝見。お嬢さん、足長すぎ
中国に馴染む努力って必要かな?これは私らみたいに国際結婚していて、中国滞在が10年以上たっている人の場合。私が北京にいるから、東京にいる大学の先生なんかから「学生が1年北京留学することになったからよろしく」と言われたことが数回ありました。でもそういう学生、北京で会ったことがない。メールか電話だけ。そして1年たって「どうにか北京生活を終えました。中国語は全然勉強しませんでしたけど」。「タクシー乗ってたから、地理はまったく覚えなかった」。アホか!とっとと帰国しろ。この子達、今後旅行に来ることはあっても、住むことはないだろうなあ。でも私達は違います。生活し続けるんです。郷に従って、日本のいい面を失いたくない。

私は中国という国はしかたないなと思う。面積がデカすぎて、人が多すぎる。あと私がはとぽっとさんと違うとしたら、日本が大好きでもない。中国にいることで、日本の特徴がわかりますよね。中国を見習ったほうがいいところもある。

経済的に余裕があって、60歳くらいでアメリカに住んだら、「日本も中国も故郷だ」とか言えるんだろうけど、私たちは今現在戦うことが多すぎる。
みどり8月さんじゅうよん 2013/08/30(Fri)10:00 編集
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